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d.工程変更(周知させるとともに、変更の準備を十分にする)
船内作業は状況に応じて変更されることが多い。変更を知らずに前の作業を進めているうちに他の作業が始められると対応が困難になる。荒天時の揚縄、揚網進路調整や網の交換等では、船体の運動による漁具の動きの変化や、網準備の手違いが生じやすい。
このようなことを防ぐには、作業の状況と変更を確実に告げて、予定を示すことである。そして、変更はその前の状態を何らかの形に納めて新たな準備をするわけであるから、単なる準備より時間がかかることが多い。よってこれに配慮して、準備には十分な時間的余裕を見込むことである。
特に高齢者は、このような変更によって体力を消耗するので、次の作業を急ぐことは無理な場合もあるので注意を要する。

 

(2)作業動作
a.服装・保護具(安全な服装に変えるべきだが、慣らす期問をもつ)
船内作業においては狭い場所で回転する設備が多く、索具が多い。それらに巻き込まれないよう、袖や裾などが締まったものがよい。しかし高齢者は長年にわたる着衣の感覚を身に付けており、極端な変更はかえって物との接触を増やしてしまうこともある。
基本的には救命衣を着けるべきであるが、作業と調和する適切なものを選ぶと同時に、それを身に付けて慣れ親しむ機会を与えること、例えば身に付けて行う作業の種類を次第に増やす等の配慮が必要であろう。
また、狭い船内に突起物が多く、ぶら下がったものも多い。作業に集中してそれらに不注意になり、動いてきたものに当たることも多く、頭部の場合には重大な災害になることが多いので、ぜひとも保安帽の着用を習慣付ける必要がある。
形も色も多様になっており、着用感も考慮して、着用を促進する現場に即したものを選ぶ必要があろう。
b.身体支持(特に荒天や力をかけるときには片手を身体支持に使う)
船員災害で最も注意すべき点は、原因の多くが、身体が動くか、物が動くかと

 

 

 

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